SaaStr AI 2026で見えた、会社設計の変化
AI Nativeはプロダクト論から「会社設計論」へ。SaaStr AI 2026 を10章で総括し、日本市場向け5つの示唆で締めるVC視点のレポート。
平野いさむです。現在 AWS JapanのStartupチームで、VCやスタートアップの皆さんと向き合っています。以前はGoogleでスタートアップ支援に関わり、その後SaaSスタートアップを共同創業し、Lark Japanの立ち上げにも関わってきました。
以前、「AI Nativeの本命は、SaaSではない。」 という記事を書きました。
今回はその続きとして、SaaStr AI Annual 2026に参加して感じたことをまとめます。
昨年のSaaStr Annual 2025については、IVRy 奥西さんのこちらの記事がとてもよくまとまっています。
SaaStr Annual 2025まとめ(IVRy 奥西さん)
昨年のSaaStrでは、「SaaSのPlaybookは変わった」「シリコンバレーはAIによる変化を本気で信じている」「日本とシリコンバレーではAIに対する温度感が違う」ということが強く語られていました。つまり、去年の時点ですでに、AIは単なる機能追加ではなく、SaaSやGTMの前提を変えるものとして捉えられていました。
では、今年は何が違ったのか。
今年のSaaStr AI 2026で見えたのは、AI Native企業は、プロダクトだけでなく、会社の作り方そのものから違うということです。
去年は、「AIによってSaaSはどう変わるのか」という問いが中心でした。今年は、さらに一段具体的に、
- どの業務をAgentに渡すのか。
- Sales組織をどう再設計するのか。
- 顧客導入のラストワンマイルを誰が担うのか。
- AI startupのunit economicsをどう守るのか。
- Agent時代のdistributionをどう作るのか。
という、かなり実務的な問いに移っていました。
AI Nativeは、もはや思想ではなく、会社の作り方そのものになり始めています。
SaaStr AI Annual 2026とは何か
SaaStrは、B2B SaaS領域では世界最大級のカンファレンスの一つです。SaaS founder、operator、investorが集まり、プロダクト、GTM、Sales、CS、資金調達、組織設計など、SaaS企業の成長に関わるテーマが幅広く議論される場です。
今年は、メインセッションだけでなく、イベント設計そのものがかなり示唆的でした。
- CRO Summit。
- CCO / FDE Summit。
- Deploy Stage。
- Replit Vibe Coding Lounge。
- Lovable Networking Lounge。
これらが並んでいたこと自体が、今年のメッセージだったと思います。AI Nativeは、プロダクトチームだけのテーマではない。Sales、CS、Marketing、Product、Engineering、Investor、すべての機能にまたがるテーマになっている。
つまり、AI Native企業とは「AI機能を持つ会社」ではなく、AIを前提に会社全体を再設計している会社です。
ここを理解しないと、今年のSaaStrの本質は見えないと思いました。
1. AI Nativeは、プロダクト論から会社設計論に変わった
今年のSaaStrで一番大きな気づきは、AI Nativeの議論がプロダクト論を超えていたことです。もちろん、AI Agentやvibe coding、AI-powered productの話は多くありました。
ただ、より重要だったのは、
- Salesをどう変えるか。
- CSをどう変えるか。
- Marketingをどう変えるか。
- Engineeringの役割をどう変えるか。
- 顧客導入をどう変えるか。
- unit economicsをどう守るか。
という、会社全体の設計に関する議論でした。
AI Nativeという言葉は、つい「AIを使ったプロダクト」を想像しがちです。でも、今年のSaaStrを見ていると、それだけでは明らかに足りません。
AI Native企業とは、AIをプロダクトに入れている会社ではありません。AIを前提に、組織、GTM、導入、データ、コスト構造まで作り直している会社です。
ここが、従来のSaaS企業とAI Native企業の分岐点になり始めていると感じました。
2. Anthropicが示した、AI Native Sales Org
特に印象に残ったのは、Anthropicのセッションでした。タイトルは、
"No Legacy, No Playbook: Building Anthropic's AI-Native Sales Team"
このセッションが面白かったのは、単に「Claudeを営業でどう使うか」という話ではなかったことです。既存のSales組織にAIを後付けするのではなく、最初からAI前提でRevenue組織を作るとどうなるのか。
- territory設計。
- qualification。
- handoff。
- manager review。
- industry coverage。
これらを、AIがいる前提でどう設計し直すのか。そこがテーマでした。
これはかなり重要です。多くのスタートアップは、成長フェーズに入ると、過去のSaaS playbookを参考にします。
- SDRを採用する。
- AEを採用する。
- territoryを切る。
- pipelineを管理する。
- manager layerを作る。
もちろん、この型がすぐになくなるわけではありません。ただ、AI Native企業は、この前提を最初から疑うことができます。
- AIがいるなら、そもそもSDRは何をすべきなのか。
- AEはどこに時間を使うべきなのか。
- managerは何をreviewすべきなのか。
- 人間が判断すべきポイントはどこなのか。
- AIに任せるべき反復業務はどこなのか。
この問いからRevenue組織を作れる会社は、従来のSaaS企業とはまったく違うスピードで学習できるはずです。
AI Native Sales Orgとは、「AIツールを使う営業チーム」ではありません。人間とAIの役割分担を前提に設計されたRevenue Systemです。
3. CRO Summitが示していた、Salesの本当の変化
CRO Summitも、今年の空気感をよく表していました。AI SDR、AI Sales Agent、AI-powered RevOpsという言葉だけを見ると、少し聞き慣れたテーマに見えるかもしれません。でも、現場の論点はもう少し深いところに移っています。
- 何が壊れるのか。
- 何が機能するのか。
- rep adoptionをどう進めるのか。
- CRM hygieneをどう保つのか。
- manager reviewをどこに入れるのか。
- comp planやheadcount planはどう変わるのか。
つまり、AI Salesの本質は「営業をAIが置き換えるか」ではありません。営業組織のどの部分をsoftware化し、どの部分を人間の判断として残すかです。
Vercelのセッションも象徴的でした。
"Going from 10 to 1 SDRs"
一見すると、AIでSDRを減らした話に見えます。でも、本質は単なる人員削減ではありません。top performerの動きや判断を分解し、それをAIが再現できるworkflowに落とし込む。これまで人間がなんとなくやっていた営業活動を、構造化し、AIに渡せる形にする。ここが重要です。
今後のSales leaderに求められるのは、単に人を採用して管理する力ではなくなると思います。どの業務をAIに渡し、どこから人間が入ると成果が最大化するのか。その設計力が問われます。
Sales headcountを増やすこと自体が競争力だった時代から、Sales workflowをどれだけ精密に設計できるかが競争力になる時代に移り始めています。
4. FDE Summitが示していた、AI導入のラストワンマイル
今年、個人的にかなり重要だと思ったのが、FDE Summitの存在です。FDEはForward Deployed Engineerの略で、顧客の現場に深く入り込み、課題定義から実装、導入、改善までを一気通貫で進める役割です。
AI Native時代に、なぜFDEが重要になるのか。理由はシンプルです。AIは、デモまではかなり簡単に作れます。でも、実際の顧客業務に入れると、一気に難しくなります。
- データが汚い。
- 業務フローが複雑。
- 権限管理が必要。
- 既存システムと連携しないといけない。
- 現場の人が使ってくれない。
- 例外処理が多い。
- 責任所在を明確にしないといけない。
ここを乗り越えないと、AIはPoCで止まります。
この構造は、日本市場では特に重要だと思います。日本企業では、業務が現場ごとに深くカスタマイズされていたり、明文化されていないオペレーションが多かったりします。つまり、AIを導入するには、単にプロダクトを提供するだけでは足りません。顧客の現場を理解し、曖昧な業務を整理し、AIで動く仕組みに落とし込み、最後まで定着させる力が必要です。ここでFDE的な役割の価値が上がります。
AI Native時代に価値が上がるのは、単にコードを書ける人ではありません。顧客の業務を理解し、AIが動ける形に翻訳できる人です。
FDE Summitがあったこと自体が、今年のSaaStrの大きなメッセージだったと思います。AI Nativeは、プロダクトだけでは完結しない。導入、定着、業務変革まで含めて勝負になる。ここは、日本のスタートアップにとってもかなり大きな示唆だと思います。
5. Vibe Coding Loungeが示していた、Builderの民主化
Replit Vibe Coding Loungeも、今年を象徴する場所でした。単にvibe codingについて語るのではなく、参加者が実際に手を動かしてAI Agentやアプリを作る場になっていました。
これはかなり大きな変化です。これまで、社内ツールや業務アプリを作るには、基本的にエンジニアリングリソースが必要でした。しかし、AI codingの進化によって、GTM leader、CS leader、Marketing leader、Founder自身が、自分の業務に必要なツールを作れるようになり始めています。
これは、単に「誰でもアプリが作れる」という話ではありません。もっと大きいのは、業務を一番理解している人が、自分でsoftwareを作れるようになるということです。
これまでのSaaSは、顧客がsoftwareを買う世界でした。でも、ReplitやLovableが示していたのは、顧客がsoftwareを"作る"側に回る世界です。いわゆる、Buyer to Builderです。
顧客がAIで自分たちのsoftwareを作れるようになると、B2B SaaSの価値は何になるのか。この問いはかなり重いです。「作れること」自体は、今後どんどん差別化ではなくなります。重要になるのは、
- workflow depth
- proprietary data
- distribution
- enterprise trust
- integration
です。
薄いUIやAI wrapperだけではかなり厳しくなります。逆に、深い業務理解、データ、既存workflowへの入り込みがある会社は強い。SaaSは終わるのではなく、選別されるのだと思います。
6. Agent時代のmoatは、Data Layerに移る
Databricksのセッションも重要でした。
"The Data Layer Underneath Every AI Agent"
AI Agentの性能は、どのLLMを使うかだけでは決まりません。むしろ重要なのは、
- enterprise data
- governance
- permissioning
- context
- retrieval
- auditability
です。
Agentが本番業務を担うなら、data layerが弱い会社は勝てません。これは、かなり本質的だと思います。AI Agentは、ただ賢いだけでは業務では使えません。
- 正しいデータにアクセスできること。
- 権限管理されていること。
- 文脈を理解できること。
- 誤った処理を監査できること。
- 必要なところで人間が介入できること。
ここまで含めて、初めてproductionで使える。
つまり、AI Native企業のmoatは、モデルそのものだけではなくなります。
- どの業務データにアクセスできるのか。
- どのworkflowに入り込んでいるのか。
- どの意思決定の文脈を持っているのか。
- どの権限と監査の仕組みを持っているのか。
ここが競争優位になります。
この観点で見ると、AI時代に強いSaaSは、単にAI機能を追加したSaaSではありません。業務データとworkflowを握り、AI Agentの実行基盤になれるSaaSです。
7. AI startupは早く売れる。でもmargin設計が難しい
Stripeのセッションでは、AI startupのmonetizationの速さが語られていました。AI企業は、従来のSaaSより早く売上化する。これはかなり面白い変化です。
ただし、成長が速いことと、良いビジネスであることは別です。AI startupは、inference cost、usage-based pricing、gross margin、cost architectureがかなり難しい。売上が伸びても、compute costで利益が残らない会社も出てきます。
だから今後VCが見るべきなのは、「AIっぽいか」ではありません。見るべきは、もっと具体的です。
- そのAIがどのworkflowを置き換えるのか。
- 誰の予算を奪うのか。
- usageが増えた時にmarginが残るのか。
- data moatがあるのか。
- 顧客の業務にどれだけ深く入り込めるのか。
AI startupは、従来のSaaSより早く立ち上がる可能性があります。一方で、unit economicsの設計を間違えると、成長すればするほど苦しくなる。これは、AI Native時代のVCやクラウドプロバイダーにとって、かなり重要な論点になるはずです。
AI startupを支援する時に大事なのは、単にクレジットを提供することではありません。どうスケールしてもmarginが崩れないarchitectureを作れるか。ここまで踏み込めるかどうかが、支援側の価値にもなっていくと思います。
8. PoCで止まらず、本番運用まで持っていく
Google Cloudのセッションでは、
"Pilot Purgatory Is Over"
というテーマが印象的でした。直訳すると、「PoC地獄は終わった」という意味に近いです。つまり、AIを試すだけの段階から、実際に業務へ組み込み、本番運用する段階に入っているということです。
これは、今のAI導入における大きな分岐点を表していると思います。これからは、
- どの業務をAgentに渡すのか。
- どうproductionへ移すのか。
- どうmonitoringするのか。
- どこにhuman reviewを入れるのか。
- 失敗した時に誰が責任を持つのか。
ここが勝負になります。
日本でも、生成AI活用のPoCはかなり増えています。ただ、PoCが増えることと、業務が変わることは別です。本当に価値が出るのは、AIが既存業務の横に置かれるのではなく、業務フローの中に組み込まれた時です。
AIを試す段階から、AIに業務を渡す段階へ。ここに進める企業と、PoCで止まる企業の差は、今後かなり大きくなると思います。
9. Agentに選ばれるGTMが始まる
CoreWeaveの "The Agent Flywheel" も面白かったです。今後、購買の主体が人間ではなくAgentになると、GTMそのものが変わります。
これまでのGTMは、人間に見つけてもらうことが前提でした。
- 広告。
- SEO。
- イベント。
- コンテンツ。
- 営業。
- 紹介。
でも、Agentが情報収集し、比較し、推奨するようになると、GTMの前提が変わります。人間向けSEOだけでなく、Agentに選ばれるためのGTMが必要になる。具体的には、
- API
- docs
- pricing clarity
- trust signal
- machine-readable information
これらがdistributionの一部になります。
これは、まだ少し未来の話に聞こえるかもしれません。でも、AI Agentが顧客の情報収集や比較検討を代行する世界では、企業のwebsiteやsales materialは、人間だけでなくAgentにも読まれる前提で設計されるはずです。
つまり、GTMは「人に伝える」だけではなく、「Agentに正しく理解される」ことも重要になります。これは、SaaS企業のmarketing、developer relations、pricing、documentationのあり方を変える可能性があります。
10. AIはProduct Cycleではなく、Capital Allocation Cycleでもある
VC / market視点で一番面白かったのは、Rory O'Driscoll、Jason Lemkin、Harry Stebbingsの20VC x SaaStrでした。テーマは、
- public B2B markets
- AI capex
- SaaS reacceleration
- venture in 2026
ここでの学びは、AIは単なるproduct cycleではなく、capital allocation cycleでもあるということです。AIによって、
- SaaS valuation、
- cloud capex、
- startup margin structure、
- org design、
- venture investment thesis
が同時に変わっています。
AIは、単に新しいプロダクトカテゴリを生んでいるだけではありません。
- 資本がどこに流れるのか。
- どの企業が再評価されるのか。
- どのコスト構造が許容されるのか。
- どのSaaSが再加速するのか。
- どのSaaSがAIに飲み込まれるのか。
ここまで変え始めています。
つまり、AIはSaaSを終わらせるのではないと思います。SaaSを2つに分ける。AIに飲み込まれるSaaS と、AIで再加速するSaaS です。
再加速するのは、system of recordを持ち、workflowに深く入り、proprietary dataを持ち、AI Agentのexecution layerになれる会社です。逆に厳しいのは、thin UI、simple workflow、point solution、dataを持たないAI wrapperです。この差は、今後さらに広がると思います。
日本での示唆
SaaStr AI 2026を見ていて、日本にとって重要だと思った示唆は大きく5つあります。
1. 「AI活用」ではなく「業務再設計」が本題になる
日本でも生成AI活用のPoCはかなり増えています。ただ、今後差が出るのは、AIツールを導入した企業ではなく、AIを前提に業務フローそのものを見直せる企業だと思います。
- どの業務をAI Agentに渡すのか。
- どこにhuman reviewを入れるのか。
- 失敗した時に誰が責任を持つのか。
- 既存システムやデータとどう接続するのか。
ここまで設計できて初めて、AIは業務の中に入っていきます。
日本企業は、現場ごとに業務が複雑で、暗黙知も多いです。だからこそ、AI導入の勝負は「ツール選定」ではなく、業務をAIが動ける形に翻訳できるかに移っていくと思います。
2. 日本ではFDE的な役割の価値がさらに高くなる
今年のSaaStrでFDE Summitがあったことは、とても象徴的でした。AIはデモまでは簡単です。でも、実際の顧客業務に入れると一気に難しくなります。
日本では特に、業務が現場ごとにカスタマイズされていたり、意思決定プロセスが複雑だったり、システムが分断されていたりします。そのため、AI Native時代には、単にプロダクトを売る人でも、単にコードを書く人でもなく、顧客の現場を理解し、業務を整理し、AIで動く仕組みに落とし込み、定着まで伴走できる人の価値が上がるはずです。
これは、AIスタートアップにとっても、大企業のDX組織にとっても、非常に重要な論点です。
3. 日本のSaaSは「AIに飲み込まれる側」か「AIで再加速する側」かを問われる
AIはSaaSを終わらせるというより、SaaSを選別していくと思います。
厳しくなるのは、
- thin UI
- simple workflow
- point solution
- dataを持たないAI wrapper
- 顧客業務に深く入っていないSaaS
です。
一方で、再加速する可能性があるのは、
- system of recordを持つ
- workflowに深く入り込んでいる
- proprietary dataを持つ
- 顧客の意思決定や実行プロセスに関与している
- AI Agentのexecution layerになれる
ような会社です。
日本のVertical SaaSや業界特化SaaSには、ここに大きなチャンスがあると思います。日本市場は業界ごとの業務が深く、複雑で、標準化されていない領域も多いです。これは一見するとスケールしづらい要因ですが、AI Native時代には、深い業務理解とデータがmoatになる可能性があります。
4. AI startupは、成長速度だけでなくunit economicsを早く見るべき
AI startupは、従来のSaaSより早く立ち上がる可能性があります。ただし、inference cost、usage-based pricing、gross margin、cost architectureを間違えると、成長すればするほど苦しくなります。
日本でも今後、AI startupへの投資や支援がさらに増えると思います。その時に見るべきなのは、「AIっぽいか」ではありません。見るべきは、
- どのworkflowを置き換えるのか
- どの予算を取りに行くのか
- usageが増えた時にmarginが残るのか
- 顧客データや業務データに深く入れるのか
- cloud / inference costをどう設計しているのか
です。
AI Native時代のスタートアップ支援では、クレジット提供だけでなく、スケールしても利益が崩れないarchitecture設計まで踏み込めるかが重要になります。
5. 日本のGTMも、Agentに読まれる前提に変わっていく
CoreWeaveの "The Agent Flywheel" で語られていたように、今後はAgentが情報収集し、比較し、推奨する世界が近づいています。これはGTMにも大きな影響があります。
これまでは、人間に向けて、
- 広告を作る。
- SEOを最適化する。
- イベントに出る。
- 営業資料を作る。
- 導入事例を書く。
という発想が中心でした。
でも今後は、それに加えて、Agentに正しく理解され、選ばれるための情報設計が必要になります。
- API
- docs
- pricing
- security information
- integration information
- customer proof
- machine-readable content
こうしたものが、GTMの一部になっていくはずです。
特に日本企業は、価格、導入条件、セキュリティ、連携情報がWeb上で分かりづらいことが多いです。Agent時代には、この"分かりづらさ"自体がdistribution上の不利になる可能性があります。
最後に
SaaStr AI 2026を通じて感じたのは、AI Nativeはもう一部のAIスタートアップだけの話ではないということです。AI Nativeは、会社の作り方そのものを変え始めています。
日本にとって重要なのは、「生成AIをどう活用するか」で止まらないことだと思います。むしろ問うべきは、AIを前提に、業務、組織、GTM、データ、コスト構造をどう作り直すか。ここだと思います。
そしてこの変化は、日本のスタートアップにとっても大きなチャンスです。日本には、業界ごとの深い業務、複雑な現場、まだAI化されていないオペレーションが多く残っています。それをAIが動ける形に翻訳し、現場に実装できる会社は、AI Native時代に強いポジションを取れるはずです。
AI Native企業をどう作るか。今年のSaaStrで見えた問いは、日本でもこれから本格的に向き合うべきテーマだと感じました。